創業期

相談窓口を活用して店舗開業を実現~美容院を開きたいという思いをかたちに

Lecrin Dress hair(秋田県横手市)
代表 川村美雪

「Lecrin Dress hair(レクランドレスヘアー)」オーナーの川村さんは、自分で美容院を持ちたいと考えてから着実に準備を重ねて店舗をオープン。自身の納得がいく形で開業をすることができたと言います。最初にきちんと計画書を作り、経営視点を理解したことが今の成長の土台になっているとのこと。実際にどのような動きを創業前にとったのか、伺いました。

代表 川村美雪

――事業内容を教えてください

秋田県横手市で、美容院を営んでいます。2018年に国道沿いの場所を見つけてオープンし、さまざまなお客様に使って頂けるようになりました。まつ毛エクステなど、一部別のスタッフが対応するものもありますが、カットやカラー、パーマなどヘアアレンジメニューは原則私がすべて対応しています。

もともと県外でスタッフとして経験を積んできたのですが、いずれ独立して店舗を持ちたいと思っていました。横手市に限らず秋田県内で少しずつ情報を集めていたのですが、結果的に出身地である横手市で開業することになりました。

――創業前の準備として取り組まれたことを教えてください

いつかは自分の店舗を開きたいと思っていたのですが、実際には開業の1年前あたりから具体的に物件を見たりし始めました。開業の流れについては少しだけ本を見たりして勉強していたのですが、いざ具体化しようとするととてもそれでは足りません。何から始めてよいかわからないでいたところに、中小機構のアドバイザーの方と出会う機会がありました。

そこでよろず支援拠点の活用方法を教えてもらいました。相談に乗ってもらえるのはとても心強いと思い、さっそく相談に赴きました。最初にアドバイスされたのは、商工会が行っていた創業塾の活用です。紹介してもらって、4日間の講座に参加しました。

創業塾では事業計画書の作り方を学んだのですが、これが非常に役立ちました。ぼんやりと頭の中で考えてはいましたが、いざ書き出してみると考えなくてはいけないことがたくさん見えてきたのです。他の業種の方と共に学ぶ中で気づいたこともありましたし、「こういう観点があったらいいのでは」とお客様目線で指摘してもらったことも参考になりました。

自分だけで考えると、「きっとこうだろう」と自分都合で考えてしまいがちですが、計画書にすることで「こういう理由で客層をここに定める」「お客様に知ってもらう流れをこのように作っていく」などと俯瞰的な視野で考えられるようになったのが、とてもよかったと思っています。

さらに開業までの間、よろず支援拠点を何回か訪れてアドバイスをもらいました。補助金や融資申請に向けた書類も、きちんとした事業計画書が必要になってきます。塾で学んだことをきちんと実践レベルに落とし込むところにさまざまな助言をもらいました。

また、開業準備に向けては気づかないこともたくさんあったので、ここで頂いた情報や観点が非常に助かりました。たとえばレジや顧客管理の方法についてはそもそも考えが至っていませんでしたので、「レジはどうするのか」と言われて初めて準備の必要性に気づいたこともあります。

レジの導入にしてもいろいろな市販ツールがあると思いますが、当時の私はほとんど知りませんでした。「こういうツールが便利だ」「こういうことをしたいなら、いくつか選択肢がある」などと具体的な方法を教えてもらえたのは役立ちました。集客に向けたリーフレットの作成やSNSの活用など、そのまま実践したこともたくさんあります。

――創業後の手ごたえはいかがですか

計画書を作ったときに、主な対象層を30代から50代あたりのミドル層に据えました。使われるシーンとしては、日々の生活の一環です。あわせてイベントがあるときにも使って頂き、お客様の望むスタイルを共に考えられる関係性になりたいと、具体的な店舗方針のイメージが固まってきました。

実際今、想定していたようなお客様がお越しくださり、計画に沿った事業規模で推移できています。紹介してくださる方も多く、定期的に来てくださる方と新規でご縁ができる方と、両方バランスよく拡大できています。開業資金は補助金と融資を活用しましたが、返済も予定通り進められました。

――今後の展望を教えてください

今のスタイルを継続したいと思っていますので、今いるお客様との関係をまずは大事にしていきたいと思っています。トータルビューティーという路線も先々は考えられますが、まずはヘアカット・ヘアアレンジに集中して、お客様の期待に応えていきたいと思っています。

店舗名には、フランス語で「宝石箱」という言葉を使っています。お店に来てくださる方々が1つひとつの宝物のようで、それを大切に扱う箱として成長していけたらという思いを込めてつけました。

振り返ると、創業前にきちんと計画を作り、かつ外部アドバイスをもらえたのは今に続く大きな財産だったと思っています。独立開業を考えた当初は、自分のやりたいことにしか目がいっていませんでした。しかし、具体的にどういう道筋で立ち上げ、どういう店舗にしていくかを最初に描いたことで、着実に一歩ずつ進めていると感じています。

Lecrin Dress hair 正面

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