安定期

災害にも強い会社をつくる~従業員の安全と事業継続を確保するための計画づくり

株式会社きむらクリーニング(北海道新ひだか町)
代表取締役社長 木村孝

業務用のクリーニングを営む同社は、地震による停電に伴う操業停止経験から、災害時でも事業を止めない仕組みづくりを考えるようになりました。他社との相互連携を含む事業継続力強化計画づくりを通して、いざという時の備えが具体化できたとのこと。どのような考えで取り組んだのか伺いました。

代表取締役社長 木村孝

――事業内容を教えてください

ホテルや医療機関を対象にしたクリーニングやリネンサプライを行っています。一般のお客様の衣服は扱っておらずシーツや枕カバー、タオルなどをまとめてお預かりし、また配送するようなスタイルをとっています。

従業員は100名弱で、障がいを持つ方にも多く働いてもらっています。仕事範囲も明確で分担しやすいので、創業初期の頃から多様な方々が働く職場づくりをしてきました。基本的には機械を通してクリーニングをしますが、機械にセットしたり、終わったものを畳んだりといったところに人手がいるような業態です。コロナ禍ではホテル関連の需要減など影響はあったのですが、今いる方々が安心して働き続けられるような経営を何とか続けてきたところです。

――どういう経緯で事業継続力強化計画を策定しましたか

当社の位置する北海道の南部は、実は地震が多く発生する地域と言われています。2018年に発生した北海道胆振東部地震のときにもかなり揺れました。さらにこの時には大規模な停電が起き、しばらく操業できないという事態も発生しました。クリーニングは機械で行いますが、電源が使えないのでまったく稼働できなかったのです。

地震などの災害が起こったときに、従業員が安全を確保できること。そのうえで、できるだけお客様に迷惑をかけない操業体制をとれること。事業を進めるうえであらかじめ備えておくべき点だと強く思いました。従業員に関しては障がいを持つ方でも迷わない避難ルートや、誰にでもわかる安否確認の手順などが重要になってきます。また事業の面では、医療関係は災害時に重要な役割を果たしますし、ホテル・旅館は避難場所としての機能をもっています。そうしたお客様の衛生を保つためにも、災害にも強い事業継続体制が必要だと思ったのです。

中小機構の支援アドバイザーの方との話で、事業継続力強化計画の認定制度があると教えてもらい、それを活用して整備することにしました。まずは従業員の安全という観点で気になる事項を洗い出して対策を検討し、さらに経営に影響する項目をアドバイザーの方からの視点ももらいつつまとめていきました。

――連携型の整備はどのように進めたのでしょうか

操業停止した時のために、広尾郡にあるヤスダリネンサプライ、苫小牧にあるスタークリーニングの2社との連携型をとることにしました。この2社は以前から相互協力するような関係でした。自社の機械が動かなくなったときに機械を借りたり、逆に相手の会社でトラブルがあったときに一時的に代替生産を引き受けたりしたことがあったのです。やはり、お客様へのサービスを止めないということが大事ですので、いざというときには連携先に相談できるという形が整備できてよかったと思っています。

計画をたてるためにいろいろと資料を見ると、地震の多い地域であることも改めて確認されました。備えをすることは大事だと思いつつも、何かに着手するというのが前はなかったのですが、こういう機会に計画としてまとめられたので、従業員にも具体的に伝えられるようになったと思っています。

――今後の展望を教えてください

今は我慢の時期だと思っています。もともとインバウンドでにぎわっていたところから、コロナ禍となり、まだそれが続いているところです。その間にこの事業継続力強化計画も含めて、会社の基盤のようなところは整備できてきましたので、ここから着実に事業を進めていけたらと考えています。

従業員には無理のない形で長く働いてもらいたいと思っています。それを実現するにも、安定的な経営が欠かせませんので、いざというときの備えをしつつ、お客様との信頼関係づくりに努めていきます。

株式会社きむらクリーニング神森工場

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