中小機構に聞こう!

Share on SNS

導入事例


事例 01

Flower shop toi toi toi

ITツールでの効率化が、
売上増のための攻めの経営戦略につながる

ITツールでの効率化が、
売上増のための攻めの経営戦略につながる

東京都府中市。多摩川が近く、東京競馬場にも近い場所に、府中市場(大東京総合卸売センター)があります。生鮮食品から日用品雑貨まで約70の専門店が軒を連ねている中で、生花、鉢植え、プリザーブドフラワーなどを販売しているのが「Flower shop toi toi toi」。市場ならではの新鮮さが売りで、鮮度を保ったまま発送する技術にも長けており、お客様には喜ばれています。今は、アナログだったレジまわりにITツールを導入し、売上拡大のためのデータを収集している段階だと、代表の青柳さんは話します。

店舗が市場にあることで事業者への販売が多かったのは事実ですが、今はそこまで事業者向けでもなく、意外と思われるのですが、一般消費者への販売が増えてきています。顧客層は40〜50代をコアにして、それ以上の年配者がほとんど。男女比でいうと、6:4か7:3で、イメージよりもずっと男性客が多いんです。その中でも、この市場に車で来られる範囲のお客様がほとんどでしたが、もっと商圏を拡げていくためにも、ITツールを活用して現状の把握、データ収集を行いたいと前々から思っていたんです。

自分でもインターネットでいろいろと調べたりもしましたが、それだけではらちが開かないので、商工会議所に相談して専門家の方に話しをしてみることにしました。

【課題】 在庫管理などは肌感覚だったので経営戦略が立てられなかった

以前は、本当に古い計算機型のレジを使っていて、お金の出し入れのみ。当然、取り扱いは現金のみで、クレジット決済などには対応していませんでした。売上についても、肌感覚でした。だいたい、これくらい売れているだろうな、明日はもっと仕入れを増やそうといった感じです。

今思うと、肌感覚でやっていたにしては、いい線行っていたなと思います(笑)それでも、当然、売れ残りといった“ムダ”は発生していて、ざっくりと2割くらいは売れ残っていたと思います。

業界が衰退している中で生き残っていくためには、事業者向けだけではなく、一般消費者にどれだけ売っていくかが大事になります。そのためにも、どの花がどれくらい売れているのか、正確な数字を把握し、ムダを省いていくことが必要だと感じていました。

【導入】 不安はあったが、使ってみたら使いやすくて便利

前々から、「クレジット決済できないのか」という話はお客様からはありまして、ニュースなどでキャッシュレス決済が取り上げられるようになったことからも、キャッシュレス対応の良いタイミングだと思っていました。iPadも含めて無料で導入できるというのが、キャッシュレス決済に切り替えた一番の要因です。

導入してみて、キャッシュレス決済をする人の多さをとても実感しました。ただ、クレジット決済は手数料が発生しますので、それが売り上げに対してどれくらいになるのかという不安はありました。

キャッシュレス決済にするタイミングで、レジも「Airレジ」を導入しました。無料でしたし、ひとまず導入してみて使いこなせるかどうかを確認しながらと思っていました。まず、ネックになりそうな、使い方に関しては動画で説明してくれて、非常に分かりやすかったです。例えば、短期のアルバイトの方でも動画を見ればすぐに使えるようになるので、『導入して使いこなせるかな……』という不安はすぐに払しょくできました。

キャッシュレス決済ばかりになってしまって、現金での取引が激減してしまうのではないかという不安もありました。ところが、蓋を開けてみると、やはり現金で取引する層は一定数いて、両方を対応できることでお客様の利便性は高まったのかなと思っています。

【効果】 売上を伸ばすための“攻めの経営”にも役立っている

まず、キャッシュレス決済にした効果ですが、とにかく『時短』ですね。お金のやり取りがなくなりますので、お客様の手間もかかりませんし、こちら側の手間もかからなくなりました。お年寄りのお客様だと、カバンからお財布を出して、そしてお財布からお金を出して、という一連の流れはどうしても時間がかかってしまいます。お店側も金額を確認する必要もありませんし、お互いに時短になったと思います。

時短になって生まれた時間で、1人でも多くのお客様を接客できれば、売り上げにもつながりますし、とてもありがたいですね。それと、売上金額の差異がほとんどなくなったことも助かっています。

次に、Airレジの効果ですが、肌感覚だった以前と比べて、今は売り上げに関する数字がリアルタイムに出てきます。今月はこれくらい売れているというのが目に見えるので、スタッフとも話しができてありがたいです。

ITツールを導入したからなのか、はっきりとは分かりませんが、1年で最も忙しい時期である12月で比較してみると、アナログだったころの売れ残り2割が、去年は1割ほどに圧縮できました。

ムダをなくすという面での効果もあったのですが、はっきりと何が売れているのかが数字で把握できることで、意外な商品が売れていることがわかったこともメリットですね。売れ筋商品がわかれば、より在庫を増やして売上を伸ばしていくことも可能になります。“守り”だけではなく、“攻め”の経営戦略にも活かしていければと考えています」

【展望】 ネット決済を実現させて、日本全国に花を売っていきたい

できるかどうかわからないのですが、例えば、QRコード決済に必要なQRコードをメールで送って決済できれば、来店いただかなくても購入できるようになります。銀行振り込みでは振り込み手数料を負担することになりますが、それがかからないようでしたら、消費者にもメリットが生まれます。

昔から、新鮮さを保ちつつ、花に損傷がないように発送する技術には自信があります。それが当社の強みのひとつでもあるので、ネット決済と絡めて当社の強みが活かせる戦略を立てていきたいです。そのためにも、ホームページやSNSなどを使って当社のPRを仕掛けていければと考えています。

Flower shop toi toi toi
所在地:東京都府中市矢崎町4丁目1大東京綜合卸売センター第1通路沿い

(支援者の紹介)支援する側もされる側も一緒に動くことが支援成功の秘訣

toi toi toi さんはAirレジ、Airペイともに2019年11月から導入を始めました。Airペイでキャッシュレス化することでお金のやり取りや計算をしなくなりますので、業務の効率化になっていることは間違いありません。POSレジについては、どの花が、いつ、どれくらい売れているのかが不明確でしたので、きっちりと戦略が立てられませんでした。そこで、POSレジで商品構成のデータをしっかりと蓄積していくことが最大の目的になります。

データ化することで、お客様のニーズをしっかり把握することにつながります。さらに、胡蝶蘭などの事業者向けで売れる花、一般消費者向けに売れる花が分析できれば、より効果の高い戦略が練られると思っています。

同じように規模が縮小して困っている事業者はいると思いますが、お客様が欲しい、ネットで売りたい、と言ってもそんなに簡単にはいきません。共通して言えることは、『誰に売りたいのかを明確にする』ことです。例えば、卒業シーズンであれば、学校、幼稚園など教育施設をターゲットにして営業するのもひとつの方法です。その中で、自分たちが狙えるターゲットを絞り込んでいくことが販売促進の基本だと思います。

今はビジネスで活用できるアプリでも無料で使えるものが増えています。まずはコストをかけずに、段階的なITツール活用のお手伝いをしていければと考えています。その際に大事になるのが、支援する側が任せっきりにならない、支援を受ける側が任されっきりにならないことです。一緒に動いてお互いに伴走していくと、うまくいくのではないでしょうか。

支援者:会社名 株式会社にぎわい研究所
代表取締役 村上知也(中小企業診断士)
設立:2015年5月7日
所在地:東京都品川区西五反田2-9-7 ドルミ五反田407号