中小企業経営者の相談先は?
~気軽に相談できる窓口を知ろう

2021年10月18日 12時00分 公開

歴史上の戦いには、「戦略勝ち」や「戦術の工夫」の話がたくさん残っています。その勝ちパターンに共通するのは、事前に考え抜いていること、先まで見通した手を打っていることではないでしょうか。経営も同じです。気がかりなこと、感じる不安などがあれば、いかに先回りして考えるかが結果に影響します。中小機構が設けている無料相談ツールもありますので、専門家の知恵も活用しながら早めの戦略を練ってください。

■相談相手がなかなかいない経営者

日々いろいろな決断をしなくてはいけないのが経営者です。難しい決断に直面することもあることでしょう。しかし、最終判断をする前に他の人の意見を聞きたい、違う視点でも検証してみたいと思うこともあるのではないでしょうか。

そうしたときに、日常の相談相手が「いる」という経営者は過半数を超えます。また具体的な相談相手としては、「税理士・公認会計士」「同業者の経営者仲間(取引先除く)」「経営陣、従業員」が上位にあがります。経営数字が見えている専門家として、「税理士・公認会計士」が頼りがいある相談先として機能しているのでしょう。

(中小企業庁「2020年版 小規模企業白書」)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b3_2_4.html

一方、経営者が抱えている課題としては「人材の確保・育成」「営業力・販売力の維持強化」「海外販路の開拓」「生産設備増強」など、幅広いテーマがあがります。同じ「人材の確保・育成」でも、「従来通りの方法では採用できなくなってきたが、他に方法はないか」「評価制度を改定したいが何から手を付けるか」など、実際の困り事は多岐にわたることでしょう。個別具体性が増していくとも言い換えられます。

■チャットで気軽に相談できるE-SODAN

相談内容がより具体化されるほど、それぞれに適した専門家の的確なアドバイスが求められます。しかし、都合良く身近に相談先がある人の方が少ないのではないでしょうか。身近にいたとしても、軽い相談にのってくれるかどうかはわかりません。費用面も気になります。

ここで活用したいのは、軽い相談でも使うことができる中小機構のサービスです。よく使われる2つの方法をご紹介します。

1つは、事前予約したら無料で受けられる経営アドバイスです。地域本部ごとに窓口があり、申込書を提出して相談日を調整します。中小企業診断士、税理士、弁護士、ITコーディネーターなどの専門家が登録しており、テーマに応じた専門家に対面で相談できるのが特徴です。相談できる専門家のリストは、各地域本部の支援メニューに掲載されています。他に電話やメールで直接相談内容を伝える窓口もありますので、希望するスタイルで相談することも可能です。

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2つめは、「E-SODAN(イーソーダン)」というサービスです。チャットで気軽に問い合わせできて、リアルタイムにAIチャットボットが回答します。チャットボットとは、チャット上で問いかけたものに自動で答えを返す仕組みのことです。

さらにAIチャットボットで対応しきれない質問に対しては、専門家が直接対応します。チャットで会話するような形で、質問を重ねていくことが可能です。最初から専門家と直接チャットを選択して始めることもできます。問い合わせが集中したときの調整や、相談時間制限がある点については、ご注意ください。

「E-SODAN」の特徴は、気軽に思い立ったときにチャットできる点です。AIチャットボットは24時間365日いつでも相談対応が可能で、忙しい経営者の方に適したツールです。「資金繰りや資金調達」「ITの活用や生産性を上げる取り組み」「災害対策」「新型コロナウイルスの支援策や対策」などに関する相談を得意としつつ、様々な経営課題に対応しています。こうした経営課題は、業種や規模を問わず同様に生じることでしょう。中小機構には長年の中小企業支援活動を通じたノウハウや事例が蓄積されています。そうした知見を活かしながら、今後もタイムリーな経営課題にも回答できるよう努めていきますので、ぜひご活用ください。

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■課題に忙殺されがちな毎日

もう1つ経営者が悩むのは、中長期の見通しをいかに持てるかではないでしょうか。タイムリーな打ち手をとるためには、先々の展望をもった判断が求められます。目先の課題に忙殺されてしまうと、中長期視点での思考は後回しになりがちです。しかし中長期的な発展のためには、俯瞰的に捉えて打ち手を進めていくことが重要です。

打ち手として起こりがちなのは、部分最適な判断を重ねた結果、全体最適にならなくなってしまう事態です。たとえば、販売管理システム、営業支援システム、顧客管理システムをそれぞれ選択した結果、顧客データはシステムごとにバラバラに管理され、連携できていない事態はその一例です。もしそうなると、システム維持費の倍増、データ連携不足によるミス発生など、次々とマイナス効果が起きかねません。

■簡単にIT化の戦略をまとめられるIT戦略ナビ

特にIT活用の最適化は、生産性向上に直結します。さまざまなデジタルツールを活用するにも、どういう方向で何を使っていくか、戦略的に考えたいものです。

戦略検討に役立つツールとして、中小機構ではIT戦略マップを手軽につくれる「IT戦略ナビ」を公開しています。IT戦略マップとは「どのようにITを活用したら、ビジネスが成功するか?」を1枚の絵でまとめるもので、「IT戦略ナビ」に沿って回答すると自社版のマップが自動作成されます。経営戦略から施策への連動が可視化されますので、特徴や課題が一目でわかります。

「IT戦略ナビ」には、あらかじめアンケート形式で設問が設定されています。たとえば「優先したい経営課題は何か」「その経営課題に対して優先したい業務課題は何か」などの問いに対して、選択肢から選んで進んでいきます。

質問に対しては、経営者が1人で考えるのではなく、役員や従業員と議論しながら選択肢を決めていくのもよいでしょう。IT戦略実行の際には、各メンバーとの共通認識が欠かせません。戦略マップ作成議論を通じて認識あわせができると、全体最適視点でIT活用が進みやすくなります。IT活用は戦略的にやらないと、ムダなコストが生じてしまいます。ぜひ全体感をもって、目標と手段を明確にしながら自社流の施策を進めてください。

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