日常業務のIT化・デジタル活用が競争力をわける
~DX時代の企業経営に必要なこと

2021年10月28日 12時00分 公開

あの経営者はこんなデジタルツールを活用している、わが社も導入してみたいけどできるのか、と感じられている経営者がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。「仕入れた商品をいついくらで誰に販売したかまで把握できていない」、「紙作業を中心とした業務のため出社しないと仕事にならない」という状況は、実は身近なITツールの活用で解消できます。煩雑だった業務フローも、よりシンプルに運用できるようになるのがIT活用の効果です。IT技術が社会のインフラとして整備され、活用が当たり前になっているのが今の時代。企業経営の世界でも大きな役割を占めてきています。インフラとしてのITを積極的に活用し、身近な業務のIT活用、デジタル化をまずは進めてみませんか。

■生産性に大きく影響するデジタル化推進

日常生活では当たり前のようにスマートフォンを使っているのに、仕事になると紙資料ばかりという状況が起こっていないでしょうか。もちろん業種業態によりますが、IT技術を活用するかしないかで、業務の品質やスピードには大きく差が出る時代となってきています。

まず確認したいのは、職場におけるIT活用・デジタル化推進の度合いです。わかりやすいのは紙からデータファイルへの移行ができているかどうかでしょう。たとえば紙の受注伝票では入力作業という手間が生じますが、最初からお客様がフォームにデータ入力してもらうようにすれば、お客様が送信ボタンを押した時点で受注データは完成します。デジタル化度合いによって、作業スピードが変わるわけです。さらには入力作業の人手がいらなくなり、人材の適切な配置なども検討しやすくなります。

他の例として、顧客データの管理も比較して考えてみましょう。営業活動を考えたときに、各自が名刺管理している状態と、顧客管理システムを導入してデータが統合されている状態では、営業戦略にも差が出てきます。たとえば顧客データが統合されることで、訪問型営業のみではなくデジタルマーケティングの導入も可能になります。潜在的な顧客層にアプローチしたり、見込み客として関係性をつくったりするときに、デジタルマーケティングは有効な手法です。せっかく顧客情報を持っているのに組織的な活用ができていないとしたら、そこに機会損失が起こっているかもしれません。

■IT活用・デジタル化で日常業務を進化させる

IT活用・デジタル化による効果について、3つの例で考えてみます。

1.営業データの可視化・共有化~日々の営業情報は迅速に共有化されていますか?

営業情報については、どのような管理をしているでしょうか。最も避けたいのは、営業担当者が個々に自分の手元で管理し、全体共有もできていない状態です。情報共有がされていないと、今月どの程度の受注が見込めるかの予測もたたず、月末になって「思ったより数字が伸びなかった」という事態を繰り返しかねません。営業支援ツールなどにデータを登録していくことで、顧客別の受注見込みや、各営業担当者の抱えている仕事量などが一目で把握できるようになります。上司が把握して早めの対応を指示できますし、顧客から窓口問い合わせが来た時にも、顧客を待たせることなく的確な応対ができるのです。

2.店舗管理のデジタル化~POSシステムを使った先手型経営ができていますか?

店舗管理において、売上計算、在庫管理はどのようにおこなっているでしょうか。もしバラバラに管理をしているなら、POSシステムの活用で生産性が大いに変わります。POSシステムとは「Point of Sales(販売時点情報管理)」の意味で、販売の売り上げ実績を商品単位で記録し、集計できる仕組みです。データを購入時間帯別、季節別などで細かく分析できますので、商品ラインアップを入れ替えたり、価格設定を検討したり、あるいは予測に基づく仕入れ調整などにも役立てられます。飲食店の場合、客席におく注文用タブレットと一体化したシステムも販売されており、注文のとりそびれや計上ミス防止にも有効です。

3.情報管理・ファイル管理の最適化~クラウドの活用が進んでいますか?

たとえば月次予算を管理する時に、各事業部に毎回入力表を配り、メールまたはFAXで集め、転記・集計を手作業でおこなっていないでしょうか。クラウドサービスを活用したデータ共有・統合の方法は、こうした事象を大いに効率化します。具体的には月次表のファイルをクラウド上に置き、そこに全員が書き込めるようにします。最初から計算式も入力しておけば、入力が完了した時点で自動的に集計表ができあがります。すでにデータ化していても、クラウドを使っていないと、ファイルやり取りが生じたり、どれが最新版かわからなくなってしまったりということが起こります。そうした手間を減らし、仕事をスムーズに進めたいものです。

■デジタル化からはじめるDXへのステップ

ただしITツールを導入すれば、デジタル化が進むものでもありません。たとえば顧客情報をデータ化して分析しようと思っても、各営業担当者が「自身の顧客データを登録しよう」と思って行動してくれないと、ツールが使われないままとなってしまいます。何のためにIT活用を推進するのかを関係者内で共有することも重要です。

さらに近年はデジタルを活用して新しい業務プロセス、新しいビジネスモデルを創出するDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まってきています。新たな事業モデルが業界外から新規参入し、競争構造が一気に変わる例もあります。そうした競争力をつけていくためにも、社内メンバーの認識合わせとデジタル化の推進は欠かせません。

仮にデータ管理がバラバラなのに顧客分析を詳細にやろうと思っても、うまく進まないはずです。この場合は、第1に名刺データのデジタル化、第2に顧客管理システムの整備と活用、第3に受発注管理・在庫管理との一元化、第4に顧客情報を分析して新たなマーケティングを行う、といったステップが必要です。第4ステップまでくると、データを活用した新たな顧客分析も可能になります。するとビジネスモデルの新しい形について議論できるようにもなるでしょう。DXが現実化することになります。

■中小機構のデジタル化支援ツールも活用を

DXは将来にわたる競争優位性を築くための武器として、ぜひ押さえておきたい点です。ただし実体が伴わない掛け声だけでは、効果は高まっていきません。まだIT活用ができる業務が残っているようなら、まずはデジタル化による業務プロセス全体の進化を目指してみてください。

デジタル化を進める際には、自社にあった手段を選んでいくのも重要です。近年は業務に使える多くのツールが出てきています。中小機構の支援ツールにはさまざまな情報も載せていますので、ぜひご活用ください。