支援先に役立つ中小機構の事業紹介:デジタル化編(後編)

2021年11月24日 12時00分 公開

前編の記事はこちらからご覧いただけます。

中小機構で実施している様々なデジタル化推進の支援策は、企業の課題やニーズにあわせて選択できるようになっています。中小企業を支援する立場の方々に知っていただき、支援先企業にあわせて活用していただくために、実際に支援に関わる村上さんに活用例についてのお話を伺いました。

※お話を伺った方:中小機構中小企業アドバイザー 村上知也さん

■豊富な導入事例を参考に、支援先企業における導入ストーリーを考える

中小企業を支援される支援者の皆様を通じて、さまざまな中小企業がITツールの導入やデジタル化を積極的に進めています。実際に、専門家の支援を受けてIT導入を進めた事例を見ていきましょう。

ここでは、花屋経営をしている「Flower Shop toi toi toi」の事例を紹介します。花屋は鮮度が重要で、売れ残りや廃棄ロスの管理が店の利益率に直結します。

この事例店舗では、もともと古い計算機型のレジを使い、日々の売上集計をおこなっていました。仕入れは長年の肌感覚でおこなっていましたが、キャッシュレス決済への対応も含めて経営のデジタル化とレジの一新を考え始めました。

結果的にはPOSレジを導入し、キャッシュレス決済を同時に導入することにより、日々の集計手間の削減も進みました。さらにリアルタイムの売上を数字で把握、データ傾向から売れ筋商品を確認して的確な在庫管理をするとともに、分析データから今後の拡大戦略をたてるまでになりました。

もともとまったくパソコンを使わない会社でしたが、次のステップとしてネットショップの開設へと進んでいます。ECプラットフォームを活用して、店舗とインターネットの併用で売上を拡大中です。実はこの会社は私が専門家として支援に伺いました。ツール選定支援や導入時の使い方支援をおこなったのですが、その場ですぐに使い方をのみこみ、自分たちで以後運用しています。

■知識向上に役立つコンテンツも活用し、支援先企業の経営課題改善を進める

デジタル化が有効なのは、店舗のようなBtoC事業だけではありません、むしろ、BtoB事業者で、まだ受発注を電話やファックス等の従来の方法(アナログ)でやっている会社ほど、大きな効果が生まれます。

たとえばウェットスーツの製造販売を手掛けている株式会社オキナワブレッシングの事例では、小口注文をあちこちからメールやFAXで受けて対応していました。それを受発注システムの導入によって、格段にスムーズな処理対応ができるようになったそうです。ただし一気に切り替えたわけではありません。直接対面での受注も続けながら、各顧客に新たな発注の仕組みを説明してまわりました。結果的に多くのクライアントがシステム発注を使うようになり、当社の業務効率化が進みました。

このショップの場合、ダイビングガイドもしていて、日中出かけている時間も多いという実態や、離島からの小口注文が多いために訪問営業が容易に行えないという特性もありました。受発注作業の効率化は確かに課題でしたが、出先の隙間時間にスマートフォンで受発注処理ができたり、場所を問わないオンライン対応ができたりするなど、複数の経営課題が同時に改善されています。支援者の方は、日常的に経営相談にのっていることも多いと思います。経営者が抱えている課題全体をとらえながら、IT導入時の効果を具体的に提示してみてはいかがでしょうか。

なお支援者の中には、ご自身のIT知識を向上させたいと考える方もいるでしょう。まさに、世の常識は年々進化しています。たとえば2020年度と2021年度に、それぞれ同じ研修を実施しました。その中でWEB会議システムの活用方法を体験する内容がありましたが、コロナ禍の影響でWEB会議システムが活用され始めた2020年度は、まだ活用に不慣れな研修者がたくさんいらっしゃいましたが、活用が当たり前となった2021年度は、研修内容としてふさわしくないほど、活用が浸透している実態がありました。コロナ禍という業務環境を大きく変更させて対応せざるを得ない外部環境のなかで、WEB会議ツールの活用が当たり前となったように、今後中小企業の経営にIT、デジタルの活用はより当たり前のこととなってくることは間違いありません。

「ここからアプリ」では、アプリの特徴を簡単なイラスト動画でまとめた「アプリガイド一覧」や、ITツールのトレンドを解説した特集記事、あるいは支援者向けの「IT支援力アップミニ講座」動画や「アプリ導入支援サポートブック」などのコンテンツも多く掲載しています。デジタル化の最新動向を知っておくことは、企業支援の場面で欠かせなくなってきています。更新情報は定期的に、メールマガジンでも発信しています。ぜひこうした情報も活用しながら、支援先企業の成長に向けて、効果的な提案や助言をしていただければ幸いです。

<ご案内:ITプラットフォームメールマガジン登録はこちらから可能です

ITプラットフォームの最新動向を知りたい方、IT導入に関する関連情報を集めたい方、IT分野の講習会を受けてみたい方などに役立つ情報が満載です(購読無料)。