オンラインで骨董品を販売するMINKEN.comには、商品ページとは別にアクセスが殺到する特別なページがある。
「題して相撲自由論。私的な相撲ブログですよ」
そう話す板垣退助社長はしかし、満更でもない様子でページ更新とともに集まるコメントを眺めている。毎日欠かさず更新されるこのブログには時に何千もの熱いコメントが寄せられるが、人気の秘訣は一体なんだろうか。
「私は昔から無類の相撲好きなんです。取組を解説者のようには語れないが、目利きとして語ることはできる。今の決まり手は骨董的価値で言えば値がつけられないほど、などと好き勝手にそれこそ自由に論じています。それが他にない物差しだから、珍しがられているんでしょうな」
相撲ファンが大いに分析し語り尽くすブログは数多いが、板垣社長はプロの目利き。別のプロフェッショナルからの視点で語られるからこそ、相撲や力士の魅力に新しい光を当てることができるのだ。
「同じ技でも、誰がいつどこで、という状況でまったく重みが変わってくる。力士それぞれに得意技があるが、属している部屋の趣や、師弟関係、取組成績や番付などすべて、相撲という大きな一大絵巻のなかに位置付けられるのです。これね、骨董も似たところがある。それこそ付加価値と呼ばれるもの。その物としての値段以上に、物自体を特別な存在に仕立てる物語を人は重要視しているのです」
相撲ブログの併設にはホームページ作成アプリを使い、短期間でリニューアルできた。ECサイトへの流入も格段に増えたという。
「値段と商品だけを載せるようなやり方はフリマアプリで十分。目利きには、骨董が持つ物語性を語る力が求められます。歴史のなかでどう扱われてきたのか、どういった変遷を辿って現在まで伝わってきたのか。お客さんは単に物を買っているんじゃない、ロマンを買っているんだから」
無形の伝統を有形の力士たちが紡いでいくロマンは、人の手から手へと渡りながら記憶が継承される骨董のロマンに通じる。板垣社長のブログのファンはMINKENの商品にも興味を示しており、実際に購入する例もあるという。
「とくに女性のお客さんが増えて、ポジティブな影響がありましたね。私より発信力があるので、あらゆるツールを駆使しながらMINKENの宣伝に一役買ってくれるのです。それが呼び水となり、サイト全体のアクセス数が伸びている。相撲ブログを更新し続けるのは地道なようだが、新たな客層と出会うための方法でもあるのですよ」
今日も相撲ブログのアクセス数上位にランクインする相撲自由論。板垣社長の自由でユニークな発信が、多くの貴重な出会いを生んでいるようだ。
独自のコンテンツを制作し、ウェブ上のさらなる集客につなげた「ホームページ作成アプリ」とは? アプリ導入の経緯とその効果について聞きました。
――導入に至った背景を教えてください
もともとMINKEN.comも、バッグや雑貨のコレクションブログを発展させたものなんです。海外旅行の際に購入したフランス製高級バッグの魅力にとりつかれ、ブログに思いの丈を綴っていたところ、ぜひ買いたいとメッセージが寄せられて。個人の発信が商機になる例を自分で経験していたので、相撲ブログをやるならECサイトに併設しようと思っていました。
――導入の効果はいかがですか?
ECサイトへのアクセス数が激変しましたね。相撲自由論は毎日更新しているので、リピーターも多く、サイト内を回遊してくれるんです。これまではコアなお客さんが見てくれていたんだが、もっとカジュアルな客層が流入してきていますね。
――御社らしい使い方の例を教えてください
相撲自由論の人気からわかるように、あるジャンルを極めた人物が別のジャンルを語るというのは、その別のジャンルのファン層と触れ合うことになるんです。だからMINKENの社員たちにも、商品紹介ページでは匿名性を捨て、自分の個性を活かしたレビューを書いてもらうようにしています。今では固定のファンがついている社員もいるんですよ。