導入事例
武田 信玄
代表取締役社長
株式会社風林火山
残業時間削減の戦い
武田 信玄
代表取締役社長
時間外労働の上限規制が中小企業にも適用。
残業時間削減は待ったなし。
人気焼き鳥チェーン「風林火山」を運営する株式会社風林火山。甲信越・中部地方に店舗を拡大する一方、飲食業界特有の長時間労働という課題も抱えていました。2020年4月より中小企業に対しても「時間外労働の上限規制」が適用となり、残業時間削減は待ったなし。そのような状況下で、どのような対策を行ったのか武田社長に話を聞きました。
-事業は好調な一方で、長時間労働が課題となっていたそうですね。
はい、当社が経営する焼き鳥チェーン「風林火山」では、大手チェーンと違いセントラルキッチンを持たず、一店一店仕込みを手作業で行っています。また「塩謙信」さんと共同開発したオリジナル岩塩を使用するなど、常にこだわりの新鮮な素材を手ごろな値段で提供することで、地元のお客様を中心にご支持いただいていました。一方、忘年会や歓送迎会シーズンともなると本部も店舗も忙しく、飲食業界特有の長時間労働が常態化していました。
-問題の根底はどこにあったのでしょうか?
私のモットーとして「人は城のようにここぞという部分に適した配置をすることで輝ける」という考えがあり、人材登用と人材配置を非常に重要に考えていました。ですから、各店舗の店長には大きな信頼と権限を与えて運営を行っていましたが、店舗ごとにオペレーションが異なるため非効率な業務プロセスが存在していました。結果、店長の事務作業時間が負担となり、そのしわ寄せが他の社員やアルバイトさんにいってしまっていたかもしれません。
経営者としては2020年4月から中小企業に対しても時間外労働の上限規制(※)が適用され、いますぐ対策しなければならないと焦りを感じていました。
※時間外労働の上限規制とは
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。大企業には2019年4月より適用され、中小企業に対しても2020年4月より適用されました。
-具体的にはどのように対策を進めましたか?
取引先である株式会社塩謙信の上杉社長と打ち合わせした際に、勤怠管理ツールを導入して生産性が向上したというお話を聞きました。また人事労務ツールも導入検討中で、それにより多くの事務仕事を効率化できるとお聞きし、興味を持ちました。身近に相談できる人がおらず、どこから手をつけていいかわからなかったので、働き方改革推進支援センター(※1)に相談してみたところ、無料で相談に乗ってくれました。
※1「働き方改革推進支援センター」では、就業規則の作成方法、賃金規程の見直し、労働関係助成金の活用など、『働き方改革』に関連する様々なご相談に総合的に対応し、支援することを目的として、全国47都道府県に設置されています。
-どのようなアドバイスがありましたか?
日々の経営や店舗運営で悩んでいることを相談したところ、改善に向けたアクションをご提案いただきました。具体的には、残業時間の上限規制に対応するために、1年単位の変形労働時間制度の導入(※2)や業務手順書や作業マニュアルの作成などです。
※2 1年単位の変形労働時間制度の導入
1年単位の変形労働時間制は、休日の増加による労働者のゆとりの創造、時間外・休日労働の減少による総労働時間の短縮を実現するため、1箇月を超え1年以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じ労働時間を配分することを認める制度です。
その後、さらに2つの支援策を活用した取り組みを行いました。一つ目は社労士などの専門家によるアドバイス支援を活用して、労務管理の見直しを図りました。もう一つは助成金(※3)を活用し、外部専門家による業務改善コンサルティングを受けました。そこでの提案を踏まえ、我々もようやく勤怠管理ツールの導入をするにいたりました。
※3 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
このコースは、生産性を向上させ、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取組む中小企業事業主の皆さまを支援します。
-対策実施後の業績や生産性に変化はありますか?
売り上げも生産性も、劇的に向上しました、とはなかなか言えない状況が続いています。動かざること山の如く。今は内側の体制を整える時だと捉えています。実際、コンサルティングとツールの導入により、非効率な業務プロセスは大幅に改善しています。自分たちができることから一歩ずつ取り組み、お客様に美味しい焼き鳥を提供し続けたいと思い努力しています。当社の機動力に期待しててください。