敗者をつくらないサービスが、これからの価値観にマッチする。

2021年10月25日 12時00分 公開

「成婚だけがすべてではない、と考えています」

意外な一言だったが、篤姫社長の顔は朗らかなまま変わらない。驚異のマッチング率で知られる結婚相談所のヒメドットコムが成婚に重きを置かないのはどういうことか?

「私たちは会員様と密なコミュニケーションを取りながら、納得のいくライフプランを決めるためのサポートを優先しているのです」

ヒメドットコムは全会員にコンシェルジュがつく。会員自身がプロフィールを見て、サポートをお願いしたいコンシェルジュを選ぶところから始まるのだ。

「最初にコンシェルジュと会員様のマッチングがうまくいかないままですと、最適なサービス提供ができず、会員様のマッチング率にも影響します」

篤姫

婚活をネガティブなイベントにしないためのサービス設計というわけだ。しかし、出会いのためにわざわざ時間もお金もかけるのだから、やはり成婚退会こそゴールなのではないだろうか。

「ひと口に婚活と言っても、パートナーが欲しい方の理由は百人百様です。中にはご自分の気持ちをはかりかねたまま会員登録するお客様もいらっしゃる。婚活を望まれる皆さんの本音にはグラデーションがあるのです。そんな時に一人のコンシェルジュから挙がった、『成婚だけをゴールにするべきではない』という意見が大きな転機となりましたね」

数ある結婚相談所やマッチングアプリと一線を画す理由がここにあった。つまり、ヒメドットコムでは結婚しないことや、婚活をやめることをポジティブにとらえているのだ。

「婚活市場に限れば、結婚は一つの達成ではあるでしょう。最良のパートナーに巡り会う喜びは大きなもの。私たちもそのお手伝いがしたい。ただ、ご自身のたった一度きりの人生を満たすものは何であるのか?結婚なのか、結婚ではないのかを知ることのほうが重要だと考えています」

会員一人ひとりと向き合い、婚活もそれ以外の道も提示することでさらに信頼を勝ち得たヒメドットコム。仲人役がどんどん相手と見合いさせ、一気に成婚へまとめ上げるような結婚相談所はひと昔前の話なのだ。

「結婚にとらわれすぎない人生設計や選択肢をご提案することも、結婚相談所ができることです。結果的に成婚に至らずお辞めになった会員様にとっても、有意義なケアであると評価いただけています。実はそうした元会員様の協力を得て、大奥スペシャルサイトを立ち上げました。現会員様向けに、婚活でのリアルな失敗談や独り身の楽しさなどを発信しているサイトです」

利用者の失敗談や独身の充実ライフを載せる試みは業界では異例だ。イメージダウンにつながる恐れはないのだろうか。

「大奥スペシャルサイトの運営方針は、良きメンターとして機能すること。婚活はやめ時がわからない、とよくお聞きします。迷いが出た時に、成婚例ばかり見ても参考になりません。成婚に至らず卒業された方でも別の幸せを見つけているとわかれば、自分を追い込む婚活をせず円満に終わることができます」

終わらせ方までが婚活なのである。篤姫社長は中小機構の経営管理者養成コースで学んだ課題解決手法を業務にフィードバックし、早い段階でチャットアプリを導入した。大奥スペシャルサイトはその成果でもあるという。

「チャットアプリを通してコミュニケーションをとり、会員様の悩みや不安が具体的にわかりました。サイトのおかげで孤独感が和らいだ、失敗エピソードで気が楽になった、というお声も多くいただき、嬉しく思っています。今後も会員様が必要とされるケアに力を入れていきたいですね」

現代人にとって結婚はもはや必須ではない。それでも婚活にトライする女性にさまざまなロールモデルを提示しながらサポートし、活動期間が充実したものになることを目指す。ヒメドットコムの入会希望者は今後も増えそうである。

チャットアプリについて

顧客の隠れたニーズに光をあて、新しい施策につながった「チャットアプリ」とは?アプリの導入の経緯とその効果について聞きました。

  • ――導入に至った背景を教えてください

  • 中小機構の経営管理者養成コースを受講した際、ゼミナールでの指導を通じて、講師の方からアドバイスをいただきました。それまでは電話やメールでの対応が基本だったのですが、会員様はほとんどスマホで利用されていますし、お電話やメールが面倒な方もいらっしゃる。チャットアプリは手軽に連携でき、会員様の負担も減るだろうと思って導入しました。

    篤姫
  • ――導入の効果はいかがですか?

  • 会員様からいただくご意見が格段に増えましたね。日常的にお使いのSNSと連携したチャットアプリなので、サービスについて問題があればすぐにお問い合わせやご質問がきます。クラウド上で会員様のデータと紐づけることで、コンシェルジュもお一人おひとりにフィットした、より細やかな対応ができるようになりました。

    篤姫
  • ――御社らしい使い方の例を教えてください

  • チャットアプリを通して会員様のお悩みや不安を把握し、施策に活用しています。そこから生まれたのが大奥スペシャルサイトです。会員様との積極的なコミュニケーションにこそ、サービス改善のヒントが隠れていると実感しました。

    篤姫

ヒメドットコムが導入した
チャットアプリはこちらから

株式会社ヒメドットコム

篤姫

社員の声に耳を傾ける傾聴力と自身の直観力で
さまざまな修羅場をくぐり抜ける経営者!

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篤姫