結婚相談所を経営する篤姫社長と、ペットショップを展開する西郷隆盛社長は同じ鹿児島出身。二人の経営者は、現代で誰もが抱える「孤独」の問題に光を当て、新たなサービスをスタートさせました。
――篤姫社長も犬がお好きとか。
篤姫社長:ええ。結婚してからは、夫が犬をあまり好きではなかったので猫を飼っていたのですが、実家ではずっと犬を飼っていました。
西郷社長:篤姫さんは同郷なので、声をかけてもらって嬉しかった。
篤姫社長:婚活サービスを運営していく中で、ある根本的な課題が見えてきました。それを解決するために、西郷さんに相談したのです。
――根本的な課題とは?
篤姫社長:お客様の“孤独”です。チャットアプリを使った聞き取りアンケートで、多くのお客様が婚活中かなり頻繁に孤独を感じているという結果が出ました。私たちの仕事はお客様を幸せにするものだと自負していましたので…衝撃を受けましたね。
西郷社長:篤姫さんから「会員さんにペットをマッチングしたいので知り合いの店を紹介してほしい」と言われた時、正直驚きました。人と人とのマッチングをやめるのかと。
篤姫社長:孤独を癒す出会いを求めているのに、サービスの利用中にずっと孤独を抱えなければならないのは間違っているのでは?と疑問に思ったのです。そこで、お客様が希望すればペットとマッチングする新サービスを始めました。
――西郷社長の驚きもわかる気がします。人よりもペットのマッチングに人気が集まってしまうのではないですか?
篤姫社長:いずれそうなるかもしれませんね。ただ、お客様が幸せになる道は結婚だけではないはず。私たちは自社サイトである大奥スペシャルサイトを通じて、成婚に至らなかった元会員の方とも交流を続けています。みなさん退会後も幸せに過ごしているのですが、ペットを飼っている方が多いんですよ。
西郷社長:自分を必要としてくれる存在がいると、孤独が和らぎますからね。まさにペットセラピーです。ヒメドットコムのコンシェルジュがきちんと会員さんを精査してくれるプロセスがあるので、せごどんPETSでも安心して仲介できますよ。
篤姫社長:婚活ではまったく一目惚れしないお客様が、犬や猫には運命の出会いを感じる。であれば、そのときめきに邁進するほうが人生の幸福度は上がると思っています。
――なるほど興味深いお話です。西郷社長はペットロボットの開発にも携わっていますよね?
西郷社長:はい。期せずして、篤姫さんからペットとのマッチングの相談をもらった時期と重なりました。坂本君(株式会社洗濯と集中の坂本龍馬社長)も孤独を解消するという切り口に興味津々でね。ペットロボットはいずれ兆円市場になるかもしれないと言ってましたよ。
篤姫社長:ペットとのマッチングが成功すれば、新しい家族が生まれます。ですが私たちの寿命のほうが長いため、やがてお別れが来てしまう。辛い体験であるペットロスにどう対処すべきかを考えた時、ペットロボットは魅力があると思います。
西郷社長:二世代目を飼えないという声はよく聞きますね。生きている存在と付き合うならば喪失は受け入れるべき現実だが、近い将来ペットロボットが解決できるかもしれません。
――ペットロボットとマッチングするサービスが始まる日も遠くなさそうです。
篤姫社長:先に構想を言われてしまいました(笑)。
西郷社長:なかなか面白そうな未来ですね。ペットは、孤独の問題に対して大きなポテンシャルを持っています。あるデータでは、ペットを飼うことで幸福や社会とのつながりを感じるオキシトシンというホルモンが分泌されたり、ストレスホルモンの分泌を抑えるといった作用も報告されている。
篤姫社長:ペットとマッチングして退会される方はもちろんいますが、逆にペット婚活のような形で成婚に至るケースもあります。ヒメドットコムでは今後も、お客様が自分の孤独とうまく向き合うためのサポートをしていくつもりです。
西郷社長:SNSでヒメドットコムとの新サービスを発表したら、大きな反響がありました。ペットを家族として迎えた人たちが自然と話題にしてくれて、トレンドにも上がった。仲介先もせごどんPETSも問い合わせが倍増して大忙しですよ。
篤姫社長:ペットロボットの試作品…試作犬の完成も楽しみに待っていますね。
西郷社長:坂本君に催促しておきましょう(笑)。
せごどんPETSが新サービスを発表して話題をつくり、店舗への問い合わせを激増させた「SNS」とは?アプリ導入の経緯とその効果について聞きました。
――導入に至った背景を教えてください
ホームページをリニューアルした時に、一緒にアカウントもつくったんです。最初はホームページで載せている動画のショート版や、動画更新のお知らせ、店舗で売る新商品の紹介などで運用を始めました。
――導入の効果はいかがですか?
ちょっとしたつぶやきにも反応がもらえて、スタッフはコミュニケーションを取るのが楽しいようです。何より、SNSは拡散力がある。店舗はまだ鹿児島だけですが、SNSでは場所は関係ありません。最近では全国から問い合わせがあるんですよ。
――御社らしい使い方の例を教えてください
今回、ヒメドットコムとの新サービスをSNSアカウントで発表しましたが、直接自分たちの店を宣伝したわけではありません。それでも婚活はトレンドワードでみんなが参加したくなる話題だったので、SNSで爆発的に議論が広がりました。結果的に店への問い合わせが増えて、効果を実感しています。