人を育てることは、かくもドラマチックである。

2022年2月28日 12時00分 公開

シブボウ株式会社の渋沢栄一社長は事業拡大の柱として、人材育成に力を入れてきました。時を同じくして、A・SALONの広岡浅子社長は女性の事業経営者を育てようとしています。二人が見据える中小企業の未来は「人を育てること」がキーワードです。

――お二人とも人材育成に注力されています。

渋沢社長:会社をもっとも成長させるのは、人ですからね。

広岡社長:私は特に女性の経営者、事業主を増やそうとしています。

渋沢社長:ヘアサロンは女性の美容師が多いイメージがありますが、実際は違うのですか?

広岡社長:アシスタントは圧倒的に女性ですね。ただ、そこから独立してお店を持ったり、名前でお客様を取れるような有名なヘアスタイリストとなると男性が多いんです。

渋沢社長:なるほど。責任ある立場に女性が少ないというのは、どの業界でも見られる現象かもしれません。

広岡社長:社会的な構造や慣習などが複雑に絡み合った、さまざまな要因があると思います。一度にすべてを解決できません。経営者の私にできることは、ロールモデルを目に見える形で増やすことかなと。

渋沢栄一と広岡浅子

――それで女性スタッフの独立支援を行っているのですか。

広岡社長:そうですね。早い段階で成功体験を積み、独立が具体的に思い描けるようにという思いからです。間借りサロンでのひとり店長経験の取り組みもその一環です。

渋沢社長:優秀な人がどんどん広岡さんのヘアサロンをやめてしまうのでは?

広岡社長:やめる理由がプラスであれば、成功したスタイリストは私のサロン出身だと話してくれます。評判も大事な業界ですからね。やめてしまうリスクよりも、未来の天才ヘアスタイリストをほかのサロンに取られるリスクのほうが大きいです。

――A・SALONなら自分の能力を活かせそうだ、と思って門を叩いてもらうわけですね。一方でシブボウでは、中小機構の研修事業を活用しています。

渋沢社長:人材育成を成長戦略の最大の柱にしています。その重要な取り組みが研修事業、そして属人化しがちな業務に対して積極的にアプリを導入することです。

広岡社長:事業支援のアプリは進化がめざましいですよね。今は、私たちが事業を始めた頃には考えもつかなかった便利なものが揃っています。

渋沢社長:おっしゃる通りです。わが社は生産管理アプリを新規導入し、同時進行で動くコラボレーション事業のライン管理をスムーズにしました。それが人材育成に役立っています。

――事業に役立つアプリの導入が人材育成にも良い、というのは?

渋沢社長:まず、社員の負担軽減になりますよね。生産量やタイミングを勘に頼るのではなくデータにもとづいて決定できるので、キャリアの浅い若手にも活躍の場が広がるのです。

広岡社長:若い世代は情報収集能力が高いですから、IT化が進んでいる企業とそうでない企業を瞬時に見分けますしね。

渋沢社長:ええ。これからの業界を担う人物に会社を選んでもらうためには、広岡社長が取り組んでいるように成長の場を用意することや、職場環境のアップデートが必要でしょう。

――ただ、現場監督や工場長は経験がモノを言う部分もありますよね。

渋沢社長:もちろんです。キャリアの長いベテラン社員は豊富な知識を持っている。アプリを使うことでフィードバックしてもらえば、若手とキャリアのある社員双方とも学びになります。

広岡社長:自分が苦労して習得してきたスキルをデータ化されたくない、手放したくないという人もいるのではないですか?

渋沢社長:そんな時は「公益性が会社を成長させると考えてほしい」と説得しています。異なるものと出合う時に、人は多くを学ぶものですから。

広岡社長:公益性ですか。

渋沢社長:属人的な能力は私益をもたらしますが、それを公開しシェアすることで会社や社会全体に利益をもたらす公益になる。結果的にビジネスに良いインパクトが残せるのは、公益性が高いものです。

――社内で公益性を高めることが、事業の公益性にもつながっていくのですね。

広岡社長:人材育成は、広い意味での公益性に寄与する大切な分野だとわかりました。

渋沢社長:社内のブルーオーシャンだと捉えれば、やるべきことはたくさんありますよね。ともに頑張りましょう。

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シブボウ株式会社

渋沢栄一

社会の流れに目を向け、顧客の声に耳を傾ける。
難しいことを、いとも簡単にこなす経営者。

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渋沢栄一

A・SALON

広岡浅子

デジタル導入や接客ツールの整備など
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広岡浅子