一皿にインテリジェンスを。二心シェフの仕事の流儀。

2021年10月11日 12時00分 公開

「味わったことのないニシンでしょう? 僕の料理は見た目と味が相反するんです」

板垣退助

そう言って不敵な笑みをのぞかせるのは、2年先まで予約困難と言われる創作フレンチレストランchez YOSHINOBUの徳川慶喜オーナーシェフ。15代目を継いだ和食界でも指折りの有名店を廃業し、フレンチの世界へ飛び込んだ言わば異端児だ。

「周りからは裏切りだとかいろいろ言われました。だが伝統を守ることと老舗にあぐらをかいて変化を渋ることは違う。非効率や作業の負荷を減らさなければ生き残れない時代です。初心に立ち返ってやり直すタイミングは、あの時しかなかった」

自分でゼロから創業したフレンチレストランで最も力を入れたのはIT活用だという。真っ先に導入したのはタブレット端末によるレジアプリ。会計や売上分析などの豊富な機能によって、店を訪れた客層の男女比や年齢層を簡単にデータ化できる。さらにキャッシュレス決済も可能にし、幅広い利用客から好評を得た。

「慣れが必要で属人化してしまうレジ業務は、意外な盲点です。前の店では現金のみ・手打ちだったのでお目付役がいたものの、どうしても人為的なミスは防げなかった。レジアプリは誰でも操作しやすく、合理的で助かっています。キャッシュレス決済を入れない理由はなかったですね。僕らが触りたいのは食材だけですから」

日々、月次の締め作業も容易になり、何のメニューがどれだけ利益を出しているかも一目でわかるようになった。徳川オーナーシェフははっきり手応えを感じたという。

「メニューを決める会議でも、タブレット上に蓄積された売り上げデータに基づいて議論します。chez YOSHINOBUは創作フレンチを提供していますが、僕自身のルーツである日本料理の繊細さや精神性も一皿に込めている。その想いがお客さんにどう伝わっているのか、どうすればもっと伝えられるのか。数字から読み解いていく面白い体験ですよ」

MINKENの実店舗

レジアプリを店内オペレーションの簡略化だけでなく、レストラン経営の本丸であるメニュー決定にも生かす。計算され尽くした戦略と意思決定の速さは、自身が厨房に立つ瞬間も同じだ。

「星があるから安泰だとは思いません。時代が変われば、舌も変わる。僕は論語の"知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ"という言葉が好きです。知恵のある人は水のように自在に動き、徳の高い人は山のように動じないという意味で、一見、相反しているでしょう? 僕はどちらでもある料理人でいたいんですよ」

まさに二心、異なる心持ちをマリアージュさせる精神こそ革新を生む原動力というわけだ。

レジアプリについて

瞬く間に人気店に名を連ねたchez YOSHINOBUが取り入れた「レジアプリ」とは? 導入の経緯とその効果について、深掘りしました。

  • ――導入に至った背景を教えてください

  • 僕が受け継いだ前の店では、レジ締めや日報、帳簿への記入などで残業する従業員がいて、労務上問題になっていた。老舗はまだまだ手打ちレジが多いんです。彼らは腕のいい料理人でもあったのに、料理を極めるという本来の仕事にリソースを割けない事態を目の当たりにしていました。だから、自分の店を開く時はかならずレジアプリを導入しようと決めていたんです。

    徳川慶喜
  • ――導入の効果はいかがですか?

  • ねらい通り、chez YOSHINOBUでレジ業務で残業する従業員はいません。驚くほど直感的に使えて負担がほとんどないので、若手のみならずベテランからも評判がいいですね。

    徳川慶喜
  • ――御社らしい使い方の例を教えてください

  • メニュー会議に活用している点です。最初こそ、どのメニューに引きがあるのか僕自身が感覚的に把握できればいいと思っていましたが、平岡君というシェフが売り上げの数字を分析してメニュー開発に有効活用したいと提案してくれました。全従業員が同じデータを共有できるので、戦略を立てる上で重宝しています。ただ、時には時流を先読みして決定を早めたり覆すこともある。従業員からは「また得意の大政奉還だ」と言われますがね(笑)。

    徳川慶喜

chez YOSHINOBUが導入した
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chez YOSHINOBU

徳川慶喜

歴史の裏付けと最先端技術を融合した経営で、
一躍有名店の仲間入りを果たした天才シェフ!

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徳川慶喜