互いに絶大な信頼を寄せる、二人の経営者。株式会社フィットネス誠の近藤勇社長と土方クリニックの土方歳三院長です。フィジカルマネジメントに精通する二人が、チームマネジメントについて熱い議論を戦わせました。それでは、ファイッ！

近藤社長：土方さんと昔、大喧嘩したことを思い出したんです。

土方院長：覚えてないねぇ。

近藤社長：酒の席だったからね。その時「あんたは人の見なくていい部分も全部見てる。それが面倒だ」って言われたんですよ。

土方院長：………覚えてないねぇ（笑）。

近藤社長：言い当てられたと思って、恥ずかしかった。私は人を見るのが好きなんですよ。とにかく人について知りたい。ジムをやっているのも、身体を通して人を理解したいからなんです。

土方院長：近藤さんは貪欲だよね。それを隠さないところも含めて魅力的だと思いますよ。まぁ私も若かったから。自分に向けられる過剰な視線が診断みたいで嫌だったんでしょう。

――そんな土方さんが、今では患者さんを診断されているわけですね（笑）。

土方院長：そう、何が起きるかわからないのが人生ですよ。近藤さんは肉体を見る。私は肘と肩を診る。相手を把握するために全体から入るか、部位から入るかの違いです。

近藤社長：目的の違いでもありますね。元の機能を取り戻すために、整形外科医としては細部の正確な診断こそ重要でしょう。トレーナーは逆です。身体の機能を成長させるためには、全体像、理想像と言ってもいいが、そのイメージをしてから細部を鍛えるのが合理的です。

土方院長：身体をみるという点では共通する部分がありますから、近藤さんとはよく情報交換をしています。いつも刺激をもらいますよ。最近盛り上がったのが、チームマネジメントについての話です。

――近藤社長はどんなマネジメント論をお持ちなのでしょうか？

近藤社長：フィジカルトレーナーのスキルをチームマネジメントに転用できると考えています。

土方院長：よくある体育会系の根性論ではないのがいいんですよね。

近藤社長：トレーナーの仕事は、相手の筋肉の躍動や息遣い、顔色を見ながら最適な成長メニューを臨機応変に提供することです。そこで培ったメソッドが、上司と部下の理想的な関係や良いチームをつくる上で役立つのではないかと思っています。

土方院長：マネジメントで悩む人は、頭を使いすぎてるんじゃないかな。もっと身体に注目してほしいです。言いたいことを溜め込んでいると筋肉が硬直するし、心配事があれば呼吸が乱れる。言葉に出せない変化も、身体のおもてに出てくるものなんです。武術で言う「起こり」を見るのに近いかな。身体を見れば、心を推し量ることができる。

――確かに、相手のことをあれこれ想像するのも大きなストレスになりますね。

土方院長：身体をすっ飛ばして心を読もうとするから、だめなんです。相手の気持ちを知りたいなら、筋肉や骨、皮膚が緻密に連携してできている身体にフォーカスするほうがよっぽど発見が多いですよ。

近藤社長：トレーナーと会員さんの関係には、雑念が入り込む隙がありません。彼らが望む姿を理解して、必要なサポートや指導をするだけでいいんです。このやり方をチームマネジメントにぜひ取り入れてもらいたいですね。

――ビジネスパーソンにかなりウケそうです。近藤社長はなぜ、チームマネジメントにそれほど興味を持ったのでしょうか？

近藤社長：フィットネス誠には「局中法度」という社訓がありますが、マネジメントはうまくいっていなかったんです。そこで、中小機構のウェビーキャンパス（※）の「組織マネジメント研修」を受講しました。部下指導の原則や基本動作を一から習得できて、すぐに実践すると同時に、フィジカルトレーナーのスキルがマネジメントに活かせることにも気がついた。ジムの会員さんには管理職も多く、話をすると興味を持ってくれます。将来的にはきちんと体系化して、トレーナーマネジメントとして提供したいですね。

土方院長：うちによく来る沖田ってトレーナーも「リーダー研修に参加した」と言ってましたよ。オンラインだから移動がないし、身体に負担がかからなくていいみたいで。人材育成として、非常にいい取り組みですね。

近藤社長：ジムの空いている会議室で受けられて便利なので、意欲のある若手に勧めています。

土方院長：肘と肩が凝ったらいつでもどうぞ。

近藤社長：かたじけない。

※中小企業大学校のノウハウが詰まった研修を、web会議システムを利用し、リアルタイムの双方向通信で行います。少人数制のオンラインゼミナールや動画教材を通じて、中小企業で活躍する人材を実践的に育成。少人数制のため、全員がディスカッションに参加することができ、課題解決力が身に付きます。

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